ピラティスにおける「アーティキュレーション」とは?

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ピラティスにおいては、以下の有名な言葉があります。

“You are only as old as your spine is flexible.”
 ーあなたの年齢は、あなたの背骨の柔軟性によって決まります


創始者であるジョセフ・ピラティスによる言葉。ピラティスでは「背骨の動き」をとても大切に考えています。

今回の記事の題名にもなっている「アーティキュレーション」という言葉は、ピラティスの世界ではよく使われます。

先日の「ピラティスにおけるエロンゲーション(イロンゲイション)とは?」という記事でもピラティス用語を紹介しましたが、この「アーティキュレーション」とはどのような意味で用いられているのでしょうか?

「articulation(アーティキュレーション)」は「関節」と直訳でき、言語学では「分節」という意味があります。

「一つ一つ分かれている」という意味ではsegmentの方が一般的ですが、ピラティスではarticulationが使われ、「背骨の椎骨が一つずつが独立して動くこと」をアーティキュレーションと呼んでいます。

背骨は頸椎から尾骨まで26個あり、この椎骨1個ずつに意識を向けながら身体を動かす機会というのが、ピラティスには非常に多いのです。

代表的なエクササイズが、「アーティキュレーティング・ブリッジ」。団体によっては「アーティキュレイティッド・ブリッジ」や「ペルヴィック・カール」 などと呼ぶこともあります。

スタート時は、骨盤は天井と並行ですが、お尻を上げる前に骨盤を後傾し、背中を上げる際にも背骨を1つずつマットから離していきます。これらが「アーティキュレーション」の動きです。

リフト時は、いわゆる「ヒップリフト」と同じような効果(=臀部やハムストリングの強化)を得られますが、「アーティキュレーション」の動きを入れることで、同時に「背骨のコントロール力」を高めることができるのです。

「アーティキュレーティング・ブリッジ」は、背骨の「屈曲・伸展」の動きですが、側屈や回旋の動きなどをするときにも、ピラティスでは「アーティキュレーション」を意識しながら動くことが多いです。

後日、解説の写真と解説文を追加予定ですが、「マーメイド」や「キャットカウ」なども、アーティキュレーションの動きが求められます。


ところで、「アーティキュレーション」の動きを繰り返すことで、どんな効果が得られるでしょうか?

効果1 : 関節に過度な負荷をかけずに運動できる
効果2 : 背骨周りの小さな筋肉の長さのバランスが整う
効果3 : 脳からの細やかな運動指令が届くようになる


効果1 : 関節に過度な負荷をかけずに運動できる

上記の「ショルダーブリッジ」ではなく、勢いをつけた「ヒップリフト」の場合、多くのトレーニング初心者は、お尻を上げる際に、腰を反らしながら上げてしまいます。

これを「代償動作」と言いますが、臀部の筋肉ではなく、腰椎に負荷・負担をかけることで、腰を痛める危険性があります。腰を反る代償動作が癖になっている場合、加齢とともに「脊柱管狭窄症」や「腰椎分離症」のような「腰を反ると痛みが出やすい」障害につながる可能性があります。

「関節に負担をかけない動き」をアーティキュレーションによって学ぶことが可能になり、エクササイズによる怪我を予防できます。


効果2 : 背骨周りの小さな筋肉の長さのバランスが整う

背骨周りには、数多くのインナーマッスルが存在しており、その代表格といえば、腰部で筋肉が厚くなっており、頸椎まで続いている「多裂筋」ですが、

アーティキュレーティング・ブリッジで、1個ずつマットから離れたり、くっついたりすることで、これらの筋肉の1本1本が収縮と弛緩を繰り返します。

ブリッジの際、まっすぐリフトとドロップを繰り返す過程で、左右の筋バランスも整ってきます。

姿勢の歪みから、背骨周りの筋肉も歪んでいる方は、この「アーティキュレーション」を続けることで左右差が整い、痛みの原因が「筋のアンバランス」の場合には、痛みが軽減する可能性があります。


効果3 : 脳からの細やかな運動指令が届くようになる

大きな筋肉の指令というのは、比較的筋肉に届きやすいです。

例えば「力こぶを作ろう」と思えば、こぶの大きさは個人差はあれど、上腕二頭筋を収縮させることはできるでしょう。

しかし、背骨周りの筋肉は、ピラティス以外で日常生活において意識する機会がないため、例えば「腰椎の2番あたりを屈曲させよう」と思っても、なかなかできません。

しかし、「アーティキュレーション」を意識しながらピラティスエクササイズをしていると、上記の「腰椎の2番あたりを屈曲させよう」と思ったら、動かすことができるのです。(腰椎2番だけ屈曲させる、というのは難しく、実際には腰椎の1番や3番なども屈曲しますが)

細やかな指令が、小さな筋肉に届くことで、「滑らかな動き」が獲得できます。滑らかな動きというのは言い換えれば、「無駄のない動き」ともいえるわけで、「疲れにくい身体」にもなりますし、外からみてもぎこちなさが取れ「美しく伸びやかな動き」を獲得していくことが可能になります。

このように「アーティキュレーション」は、現代社会の我々にとって、非常に有益な動き方なのです。

なお、通常の「ヒップリフト(ストレート・ブリッジ)」についても、勢いまかせで取り組むのでなければ、メリットはあります。

ただし、ここで書くと長くなりすぎるので、また別の機会(できれば2025年1月中)に記事にしたいと思います。

それまでは、下記の動画を参考にしてください。

アーティキュレーティング・ショルダーブリッジ



ストレート・ブリッジ


4年前に作成した動画ですが、台本に関しては直すところがないくらい、完成度の高いエクササイズ紹介動画です。

音質や画質が少し古くなってきているため、2025年にエクササイズ動画を少しずつリニューアルしていく予定ですが、まずは上記を参考にしてください。

2025年1月初旬から中旬にかけて、「ストレート・ブリッジ」の解説やメリットを紹介予定です。

12月中旬に始めたこちらのトピックでは、今回のようなピラティスに関するTIPS(豆知識)以外にも、「会員様の声」や「会員様の成果」についての記事をほぼ毎日書いてきました。

しかし、年末年始は、お正月休みをいただきます。

1月以降も、なるべく頻度高く更新していきますので、2025年も記事更新をお楽しみください。

「読むだけで、ピラティスのことを深く知ることができる」機会を増やしていきます。

ピラティススタジオBB