ピラティスにおける「ニュートラルポジション」とは?

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ピラティスをしていると、インストラクターから「ニュートラルポジションを取りましょう」と言われることがあります。

「ニュートラル」は「中間」、「ポジション」は「位置」という意味のため、通常「中間位」と訳されます。

ニュートラルポジションとは、「中間位」という意味


例えば、「骨盤のニュートラル」とは、前傾位でも後傾位でもない、まさにその中間のポジションを指します。

下の図では、左が「骨盤-前傾、腰椎-前弯」、右が「骨盤-後傾、腰椎-後弯」しているのに対し、真ん中は骨盤がニュートラルな位置にあり、腰椎は適切な弯曲を保っています。








骨盤がニュートラルポジションを保てていないと、頭部(頭)が前方に変位することで首や肩が凝りやすくなったり、背骨が反りすぎたり、クッション性を失ったりすることで腰痛の原因になることがあります。

スポーツ選手などは「骨盤がやや前傾気味」の方が早く走れる場合もありますし、ダンスやバレエなどで腰を通常よりも反ることが必要な種目もありますが、バランスが崩れすぎると障害や成績不振の原因になることもあります。

そのため、ある程度自分自身の「ニュートラルポジション」を知っておくことで、「効率的な身体の使い方」や「身体の不調や障害の予防」が可能になります。

「ニュートラルポジション」を知ることで、自身の身体に対する認識能力も高まり、「効率的な身体の使い方」や「怪我や障害、身体の不調の予防」につながる


さて、「骨盤のニュートラルポジション」の定義について、少し深掘りしていきます。

骨盤にはASIS(上前腸骨棘)というランドマーク(目印)になる場所があります。

両手を腰に当てると、中指付近にある骨盤の前の部分で明らかに出っ張った部位があり、これがASISです。

ASISは左右に存在しますが、この2つのASISと恥骨を結んだ三角形を「前方トライアングル」と呼びます。

この三角形が横から見た時に床と垂直の状態になっているとき、「骨盤がニュートラルを保てている」と定義できます。

前方トライアングルとは、2つのASISと恥骨を結んだ三角形のこと


基本的には、ピラティスの動きを行う前のスタートポジションを取る際には、骨盤のニュートラルを作ることから始まります。

上記の図のように、仰向けの時は「前方トライアングルが天井と並行になる」ように、立った時は「前方トライアングルが前の壁と並行になる」ように調整します。

その上で、例えば立っている時には「乳様突起-肩峰-大転子-膝蓋骨-内くるぶしのやや前」や「第10肋骨-ASIS」が、横から見た時に一直線になっている姿勢を「立位のニュートラルポジション」と言います。

「第10肋骨とASISが一直線」というのは、少し難しいので、また別の記事で紹介する機会を設けます。

プライベート専門スタジオでは、入会して早い段階でこの「ニュートラルポジション」の作り方をレクチャーするケースが多いですが、最近では「とにかくマシン、特にリフォーマーを使ったピラティスのレッスン」を優先するあまり、これを軽視している風潮があるかもしれません。

インストラクターだけではなく、クライアントの立場でも、この「ニュートラルポジション」を理解することで、ピラティスの効果が確実に高まります。

「ニュートラルポジション」を理解することで、ピラティスの効果を高めることができる


一方で、ニュートラルポジションはあくまでも「目安」であり、骨のでっぱりの大きさや、そもそもの骨格構造は微妙に異なります。

机上ではニュートラルであっても、「人間は機械ではない」のですから、無理に上記の定義に合わせることで、却って余計なところに力が入りすぎたりすることもあります。

ニュートラルポジションは、あくまでも「目安」であることを忘れない


ニュートラルポジションは、あくまでも「目安」であり、「絶対的」なものではありません。

「前方トライアングルが壁と並行だと、少し骨盤が後傾してしまう人」もいますし、先ほども触れましたが、スポーツ競技やパフォーマーの場合は、やや骨盤が前傾気味であるのを矯正してパフォーマンスが悪化する可能性もゼロではありません。

姿勢評価や動きの評価においては、「インストラクター側の見立てと、クライアント側の感覚をすり合わせる」という作業が必要な場合もあります。

また、ピラティスの初心者であれば、上記に挙げた「第10肋骨とASISが同直線上」と言われても「何が何だかさっぱり」という状態になるのは当然です。

時間をかけて、少しずつ頭と身体で理解することで、徐々に理解できるようになっていきます。


もう一つ、大切な考え方をシェアします。

「骨で立つ」という感覚を!


まずは「骨盤のニュートラル」と「前傾・後傾の違い」を理解し、少しずつ「骨盤の上に肋骨が乗り、その上に頭が乗る感覚」を意識してみましょう。

また、足元からニュートラルを意識したり、骨の積み重なりを意識することで、「ニュートラルポジションの感覚」が高まっていきます。

骨で立つことができれば、余計な筋肉を使う必要がなく、無駄な筋疲労も起こりません。不良姿勢も徐々に改善されていきますよ!

ピラティススタジオBB


※インストラクター目線では、より詳細な見方や、仰臥位や立位以外のランドマーク(例:後方トライアングル等)がありますが、本記事では一般の方が「ちょっと難しいけれど分かる」レベルでの記述とさせていただいております



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